ラジコン感覚で操縦ができ、危険な場所の撮影や趣味での飛行など多くの用途に使われているドローンですが、その歴史は意外と古いものです。研究が始まったのは、第二次世界大戦中と言われており、開発の目的は完全に軍事使用のためのものでした。当初は無人機に爆弾を搭載して体当たりさせるのが主な目的でしたが、結局第二次世界大戦中に実用化して作戦に成功することはありませんでした。
しかし、戦後もドローンの軍事開発は続きます。ターゲット・ドローンと呼ばれるいわゆる標的機での使用や、魚雷の投下を目的としたものが主でしたが、このことから次第にドローンが実用化されるようになり、1970年代からは、偵察目的のドローンが作られるようになりました。中でも有名なのは、アメリカ軍によって製造されたプレデターでしょう。監視目的で開発されたプレデターですがアフガニスタン紛争やイラク戦争などでは敵地を攻撃する用途でも使用されました。現在でもドローンの軍事使用は行われていますが、こういったタイプのドローンは基本的に遠隔地から操縦者が操縦するタイプのものであり、攻撃の際に誤って民間人に被害が及ぶことも多いことなどが問題点となっています。とはいえインターネットをはじめとする最新の技術が軍事開発からスタートしていることは今や当然のことであり、ドローンの小型化や高性能化などは現在でも軍事目的での開発が主になっているのです。
1970年代以降、無線技術の進歩により、ドローンの小型化がすすめられましたが、ドローンが民間利用されるようになったのはかなり最近の話です。日本もドローンが広く使われるようになりましたが、それは農薬散布を目的としたもので、1990年代に広まったものと言われています。ドローンの民間活用においては、日本は世界に先んじており、2002年の段階で世界中のドローンのうち65%は日本で農薬散布に使われていたというデータもあります。さらに、現在ではコンピューターを登載して、プログラミングしておくことによって、人が操縦しなくてもプログラムに沿って飛行するドローンも登場しています。
その他、撮影機材の小型化などによって、素人でも簡単に航空写真が撮れるようになったこともあって、撮影目的でのドローンも増えました。もともと偵察目的でのドローンは撮影を行っているのですが、報道や趣味などの民間でも撮影目的でのドローンが使われるようになったのです。写真技術の進歩によって、小さくて安価なカメラでも驚くほどきれいな写真を撮れるようになったことも関係しているでしょう。現在では、専門店やネット通販などで、簡単にそのようなドローンを購入することもできますし、単に趣味で何台ものドローンを所有している人もたくさんいます。ドローンに関する技術は飛躍的に進歩しており、通販大手のAmazonがドローンによる配達を検討していたり、今後はさらに多方面での活躍が期待されているのです。